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筑波サーキットでの全日本ロードレース開催は、今年を最後にしませんか?│WEBヤングマシン|最新バイク情報


筑波サーキットでの全日本ロードレース開催は、今年を最後にしませんか?│WEBヤングマシン|最新バイク情報

 

【魚拓】

51年前と基本設計は変わらず

筑波サーキットでの全日本ロードレース開催は、今年を最後にしませんか?
2021/07/01
 ヤングマシン(ことぶき)
 

●文/写真:佐藤寿宏
筑波サーキットは1970年に誕生し半世紀以上が経過しているが、基本的な設計は変わっていない
2021年6月19日-20日に全日本ロードレース筑波ラウンドが開催されました。昨年は新型コロナの影響で中止となっていたため2年振りの開催でしたが、やはり全日本を開催するには、いろいろな観点から厳しいコースだということをあらためて感じました。

今回は、ST1000クラスが初開催ということで、筑波側は新予選フォーマットを採用し盛り上げようとしていましたが、決勝の台数を絞ったこともあって、スポット参戦組などは敬遠したようです。実際、地方選手権とのレベル差も、かなりありますから。

とはいえ、事前にテストしていた渡辺一馬が57秒フラットを出していたこともあり、本番には56秒台に確実に入ってくることが予想されていましたし、実際に事前テストとも言える特別スポーツ走行では、榎戸育寛が56秒474までタイムを詰めています。

ST1000クラスで非公式ながら最速タイムを出した榎戸育寛。ウエットとなったレース1を制している。 [写真タップで拡大]
筑波サーキットでは、2013年を最後に危険ということでJSB1000クラスの開催がなくなっています。その後、600ccのJ-GP2クラスが2019年に廃止され、昨年よりST1000クラスが始まっています。JSB1000ができないのに、ST1000クラスをやってもいいのか? という議論を、もっとすべきだったと思いますし、実際にライダーたちからは“走りたくない”という意見が多く聞かれました。

レースがあれば、ライダーは走るしかない状況に追い込まれますが、あるライダーは“一人だけでも棄権するかもしれません”と言っていました。

コースサイドで見ていてもかなりの怖さがあり、ワンミスも許されない状況で走っているライダーたちには、敬意しかありません。何とか無事に終わって欲しいと祈りながら、取材を続けましたが、残念ながら重傷者も出てしまいました。

全日本ST600クラスに女性ライダーとしてただ一人フルエントリーしている平野ルナ。早くよくなって復帰してもらいたい。 [写真タップで拡大]
決勝日朝のウォームアップ走行でST600クラスの平野ルナが1コーナーで転倒。スポンジバリアの下に入り込み、頭だけ出ている状態のところに自身のマシンが接触。マシンはウレタンバリアの先にあるタイヤバリアの上に乗っかっていたそうです。

すぐに市内の病院に運ばれた平野は、CT、MRI検査を行い脳へ大きなダメージがないことが確認されましたが、眼底と鼻の骨折があり手術を行うことになったため第5戦鈴鹿は欠場することがチームから発表されています。

1コーナーにランオフエリアがあれば違う結果になっていたはずですし、ST600もタイム的にはST1000と大差がなく、区間によっては速いところもあるので、危険度は変わらないどころか増している部分もあります。ランオフエリアが狭いため、マシンへのダメージも大きくなってしまうことも多いんです。平野は、金曜日にも最終コーナーで転倒。フレームは大丈夫でしたが他はほぼ使いものにならず、今回の筑波ラウンドでは2台廃車に等しく、大きな痛手となりました。

これが筑波のピット。2014年に休止、2015年にカレンダーに復帰した際にピットロード側のコンクリートを削り、コースインできるようにしたが……。 [写真タップで拡大]
時代遅れの昔ながらの交代制のピットも問題だ。重い機材を何度も運ばなければならず、ガレージと往復するメカニックやスタッフは、日に日に疲労がたまってしまう。メカミスをしてしまう可能性も高くなるため、いつも以上に確認を行ったという声もあった。メカニックやスタッフの高齢化も進んでおり、施設的にも1970年代のシステムはチームへの負担が大きいところです。

と、まぁ好き勝手に書かせていただきましたが、筑波サーキットの皆さんには、昔からお世話になっていますし、いい方ばかりなので心苦しいところですが、来年以降は、全日本J-GP3クラスとMFJ CUP JP250を地方選手権の中で行うというのは、どうでしょうか。

ST600クラスの決勝中に救急車がコースイン。ポストからは、それを示す白旗が振られているが…。 [写真タップで拡大]
話は変わり、今回、ST1000クラスには、EWC世界耐久選手権参戦のため欠場した高橋裕紀の代役として伊藤和輝が参加しました。チームは代役だから、ゼッケンは、そのままでいいと言われたそうで裕紀のチャンピオンの証でもある“1”をつけて走りましたが、違和感だらけでした。MotoGPでは、オランダGPにモルビデリの代役でガーロフが出場しましたが、ゼッケンは同じではなく、SBKでつけている31でした。

あれだけゼッケン問題で揉めたのに“赤ゼッケンの1”をつけて他のライダーが走っていいとは何なんだと。筑波を終えたランキング表には、ゼッケン1のライダーが2人存在しています。伊藤は、昨年、ST1000クラスにフル参戦しておりランキング13位になっています。パーソナルナンバーがあるにも関わらず、おかしくないか? と思った方は多いでしょう。この問題も、とりあえずリセットして昨年の状態に戻してもらいたいですね。次戦の鈴鹿には、伊藤はゼッケン13をつけて走るそうです。

日本郵便Honda Dream TPから高橋裕紀の代役参戦した伊藤和輝。この後も伊藤が参戦することになりそうだ。 [写真タップで拡大]
また、岡山国際サーキットの新シケインも、モスエスへの進入スピードを落とすという目的が果たされておらず、新シケイン自体の危険性もあるため多くのライダーが反対しています。昨年は事前テストのみで、本番は台風で中止となったために、まだ全日本では使われていないのですが、何かが起きる前に決断してもらいたいものです。

コロナ禍にあり、お客さんを積極的に呼ぶことができない中、いま踏ん張っているチームが、やりやすく助けになることを、MFJやサーキットは、現場の意見を聞いて進めて欲しいですね。


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