MAXシリーズ。
ペヤングの激辛シリーズはもう人間の食うもんじゃないので避けているのですが、
酸味と辛味の共演には個人的に思い入れもありました。
パッケージデザインは、棚で目立てばいいだろ的やっつけですね。
辛さの表現がファイヤーパターンなのは頷けますが、
酸味は緑の★なんですね。
どうですか?
「ナッチポックン」
幼少期、色んなエッセイにハマった時期が在りました。
好きな作家のひとりに伊丹十三がありました。
そのエッセイ集に
「日本世間噺大系」
という、ハードカバーがありました。
その本の「芸術家」という短編が、何故か強烈な記憶として残っています。
あらすじはこうです。
ーーー
小説家志願の若者が夜半「先生」のお宅を訪問する。
「先生」に苦心惨憺の作品を見てもらおうとしたところ、「先ずはこれでも食べなさい」と、まだ漬かりきらない大蒜の味噌漬を食べさせられる。
空腹だったこともあり、その辛さで悶絶しそうになると今度は、手製の8年物のキムチをふるまわれる。
これまた頭の毛穴から煙が吹き出しそうになるくらい辛い。
しかし「先生」は、
芸術家を目指すものがこれしきの辛さで参るとは何事か!と叱咤。
今度は壺に入った「ナッチーポックン」なる得体のしれない食材を勧める。
むせび泣きながらそれを頬張る書生。地獄のような辛さ。
そこで「先生」は更に、先程のキムチを食えと勧める。
どうにでもなれと、無理やり口に入れたキムチをヒト咬みした書生はハッとする。
ナッチーポックンの壮絶な辛さの前には、キムチの辛さなど零に等しく、ただ清々しい白菜の酸味が舌に広がるのだ。
「どうだ。うまいだろう。」
そう先生に問われた書生は、涙ながらに頷きながら、途切れがちな意識とその泪目の向こうに、遠く朝鮮半島に幾万と蠢く芸術家たちに思いを馳せるのであった。
ーーー
という話し。(違ってたらすみません。)を、思い出すのです。
そんなわけで、ボクが「辛味と酸味」に向き合う時は必ず。芸術の深淵に思いを寄せてしまうのです。
あ、そうそう。
確か、小説の「ナッチポックン」はタコの唐辛子漬だった気がするけど、ペヤングにはエビが入っていた。